トップページ前書きからの続きです)

ペリーやハリスをはじめ、仕事や研究などで滞在した外人たちが、
日本人の優秀さや勤勉さを、祖国への報告書や書簡に書き記しています。

その日本人評は、「思慮深く自由であり、従順にして礼儀正しく、
好奇心に富み、勤勉で器用、節約家にして、清潔好き、善良で友情に厚く、
率直にして公正、正直にして誠実、疑い深く、迷信深く、高慢であるが
寛容であり、悪に容赦なく、勇敢にして不屈である」などなどと、
褒め言葉がたくさん記されていたのです。

うちの孫ちゃんは、これにどんな反応をするかと伺いながら、
私は他の記述も続いて読みあげました。

一呼吸置いたところへ、彼が遮るようにこんなことを言います。
『天使のいもうと』っていう文があるんだよ。知っている?」
それがこの話とどんな関連があるのかと、私は言葉の続きを待ちました。

「小学一年生の作文なんだ。すごいよ、読んでみて!」
言われるままパソコンで検索すると、ひらがなだらけの文章が並んで
います。一字一字拾って読み始めると、ウワッと涙があふれてきました。

ぼくには、てんしのいもうとがいます。。。と始まる、ひらがなの作文です。

漢字を加えて全文をご紹介します。
 
 
 
『てんしのいもうと』   新潟県 1年 松橋一太
 
ボクには、天使のいもうとがいます。

夜中、ボクは、お父さんと病院のまちあいしつにすわっていました。

隣にいるお父さんは、少しこわい顔をしています。

いつも人でいっぱいの病院は、夜中になるとこんなに静かなんだなあと思いました。

少したってから、目の前のドアが開いて、車いすに乗ったお母さんと
看護師さんがでてきました。

ボクが車いすをおすと、お母さんは悲しそうに、歯をくいしばった顔をして、
ボクの手をぎゅっとにぎりました。

家につくころ、お空は少し明るくなっていました。

ボクは1人っ子なので、妹がうまれてくることがとても楽しみでした。

お母さんのおなかにいもうとが来たと聞いてから、毎日、ぬいぐるみで
おむつがえの練習をしたり、いもうとの名前を考えたりしてすごしました。

ごはんを食べたり、おしゃべりしたり笑ったり、公園で遊んだり、テレビを見たり、
いままで3人でしていたことを、これからは4人でするんだなあと思っていました。

でも、春休みの終わり、トイレでぐったりしながら泣いているお母さんを見て、
これからも3人なのかもしれないと思いました。さみしくて、悲しかったけど、
それをいったらお父さんとお母さんが困ると思っていえませんでした。

ぽかぽかの暖かい日、ボクたちは、善光寺さんへ行きました。

いもうととバイバイするためです。初めて4人でおでかけをしました。

ボクは、いもうとが天国で遊べるように、おりがみでおもちゃを作りました。

「また、お母さんのお腹に来てね。今度はうまれてきて、一緒にいろんなことしようね。」と、てがみを書きました。

ボクは、手を合わせながら、ボクの当たり前の毎日は、ありがとうの毎日
なんだと思いました。

お父さんとお母さんがいることも、笑うことも、食べることや話すことも、
全部ありがとうなんだと思いました。

それを教えてくれたのは、いもうとです。

ボクのいもうと、ありがとう。

お父さん、お母さん、ありがとう。

いきていること、ありがとう。

ボクには、てんしのいもうとがいます。

だいじなだいじな いもうとがいます。
 
 
 
私が涙をためていると、「この子がかわいい声なんだよ」
と孫ちゃんが別のサイトを見るように促します。

https://youtu.be/qI_m9fJEQN4
(注:youtubeの動画へ移動し、音声が出ます)
 
 
 
 
 
あんな良くできた文章からは想像もできない、幼ない子供
たどたどしい声が、聞こえてくるではありませんか?

でもそこには、日本人に伝わる優秀さや勤勉さが
ちゃんと宿っているようで、感心するやらうれしいやら。

      恐れ入りました!! 

私はこの頃少し大人っぽくなった孫の頭を撫でながら、
日本の未来に希望を見た思いでした。